樺太関連図書

ここでは、当コンテンツを作成するにあたり引用させていただいたものを中心に、樺太関連の資料・文献を紹介したいと思います。

その内容は、文字通り啓蒙されるものから、首をひねらざるをえないものまで様々です。その多様さから、樺太をめぐってさまざまな見方、考え方が存在することを感じ取っていただければ幸いです。

なお、ここで紹介する本には、すべて管理人が目を通しています。
けれど、その内容について、必ずしも正確さや妥当性を保証するものではありません(そのようなことは、管理人の手に余ります)

順番は、書名(タイトル)の五十音順となっています。

目次

概説、および資料

樺太庁施政三十年史(上)
明治百年叢書223巻
樺太庁原書房昭和48日本領編入30周年を記念し、樺太庁によって編纂されたものです。いわば県史にあたるものでしょうか。昭和11年に発行されたものを上下2巻に分冊し、復刻したものです。原本の前半部分にあたる内容を扱っています。
樺太庁施政三十年史(下)
明治百年叢書224巻
樺太庁原書房昭和49昭和11年に発行されたものを上下2巻に分冊し、復刻したものです。原本の後半部分にあたる内容を扱っています。
樺太要覧樺太庁大正15、昭和2-3、7-8樺太庁による、樺太を紹介する本です。
日本帝国統計年鑑
第四十六回〜第五十三回、第五十五回〜第五十九回
内閣統計局昭和2-9、11-12、14-16様々な統計をまとめたものです。49〜51、55、58〜59の各回については復刻版を参照しました。

樺太の地理

樺太市街地図
商工人名総覧
国書刊行会国書刊行会1981かつて市町村にあった商店などの位置を、当時在住していた人々からの聞き取りに基づいてまとめたというもの。編集の性質上からか、残念ながら収録されている市町村に多少偏りがあり、また、いつごろの様子を表したものかも不明です。折り込みの巨大な豊原市の地図が圧巻です。
樺太地誌
付・条約及び境界画定
大野東雲国書刊行会昭和52昭和10年に発行されたものの復刻です。興味深い記述が多いですけれど、史料というより、樺太を紹介する入門書という感じの本です。
なお、「付」は原書にはなく、復刻時に東京地学協会「樺太地誌」より転載されたものとのことです。
市町村大字読方名彙(編)小川琢治東洋書林大正12大正時代末の樺太の地名を知ることができる興味深い本です。編集にあたって、樺太庁の協力を得た旨が謝辞に記されています。
市町村別日本国勢総覧8 外地編 付・皇室澤本健三日本図書センター1999昭和9年、 社団法人帝国公民教育協会より発行されたものを分冊とし、復刻したものです。
大日本分県地図
併地名総攬
日下伊兵衛国際地学協会昭和10,12,13,14,15,16行政区画別の地図と、大字単位での地名を記載した日本地図帳です。
昭和十、十二〜十六年発行の各版を参照しました。
日本地名大辞典 
第三巻 コ-キ
澤田久雄日本書房昭和14昭和14年発行の改訂第二版を参照しました。
北方四島・千島・樺太
地図で語る戦前・戦中・戦後
籠瀬良明古今書院1995文献というよりは趣味の随筆といった趣の本です。内容も、筆者が地図を見てあれこれ想像したことが中心で、事実について書かれている部分はわずかです。
日本統治下で作られた地図が多数転載されているので、とにかく昔の地図を見てみたい! という方には興味深い本かもしれません。

樺太の歴史

書名編・著発行元発行年解説
樺太沿革・行政史全国樺太連盟全国樺太連盟昭和53第二次大戦後、樺太史の決定版とするべく全国樺太連盟によって編纂されたものです。
樺太基本年表北海道総務部北海道庁1971
樺太教育発達史
旧植民地教育史資料集3
高田銀次郎青史社1982昭和11年に発行されたものの復刻です。
近代日本製紙業の競争と協調
王子製紙、富士製紙、樺太工業の成長とカルテル活動の変遷
四宮俊之日本経済評論社1997樺太の発展を支えた重要な産業の一つである製紙業について、その歴史をカルテル活動という側面から捉えた研究書です。樺太での製紙業についての記述は比較的少ないですし、内容も専門的なものですから、特に製紙業に感心があるのでなければ読み進めるのは難しいかも知れません(管理人には大変でした)
国境の植民地・樺太三木理史塙書房2006日本の植民地支配という視点から樺太を概説したものです。
樺太の歴史や制度に関する知識は前提条件と考えられているのか、基本的に記述されていません。樺太全体の概説書と考えると、期待はずれに終わるでしょう。
植民地支配や戦争責任に興味がある方にとっては、よくまとまった入門書となるかもしれません。
日本統治下の樺太
「外地法制誌」第七部
外務省条約局法規課昭和44法律を中心に樺太の概要をまとめたものです。
柳田國男全集
第2巻
柳田國男ちくま文庫1989日本編入直後の明治39年に作者が樺太を訪れた際の様子を描いた「樺太紀行」が収録されています。

日本時代の風景

仰ぐ翠巒
最後の五年生の回想録
樺太庁真岡中学校第十六回生同期会平成15真岡中学校の同窓会誌です。真中卒業生の貴重な体験談が収録されています。
樺太歳時記菊地滴翠国書刊行会昭和59日本統治下の樺太で詠まれた俳句を集めた句集です。
写真集樺太国書刊行会国書刊行会1977日本統治下の樺太で撮影された写真を集めたものです。
台湾
別冊1億人の昭和史 日本植民地史3
毎日新聞社1978巻末に「樺太<特別企画>」があり、日本統治時代の写真を多数収録しています。
日本地理大系 第十巻 北海道・樺太編改造社昭和5シリーズ物で、北海道と樺太を扱った巻です。当時の写真が多数収録されています。
すべての地名にふりがなが振ってありますけれど、残念ながら、信頼できるものではありません……
日本地理風俗大系 第十四巻新光社昭和5シリーズ物で、北海道と樺太を扱った巻です。樺太について書かれているページは全体の五分の一程度です。
これも『日本地理大系』と同じく、すべての地名にふりがなが振ってありますけれど、やはり信頼できるものではありません。
目でみる樺太時代国書刊行会国書刊行会1986日本統治時代の写真を集めた二巻組の写真集です。当時の繁栄を偲ばせる、貴重な写真が多数収録されています。
なお、ソ連侵攻時の様子を描いた「樺太日記」という囲み記事が掲載されていますけれど、これを読むと、写真の平和な樺太の姿との落差に、暗澹たる気分になれます。

回想・伝記

巨人、大鵬、卵焼き
私の履歴書
大鵬幸喜日本経済新聞社2001敷香生まれの横綱、大鵬関の自伝です。日本経済新聞の連載に、加筆修正したもののようです。
量的にはわずかですけれど、幼年期の思い出やソ連が侵攻してきた際の様子など、樺太についても触れられています。

樺太の自然とさまざまな文化

書名編・著発行元発行年解説
アイヌの衣装
日本の染色16
岡村吉右衛門京都書院1993美しい写真で、アイヌの服飾を紹介しています。
カラフトアイヌ語
文法篇
村崎恭子国書刊行会昭和54
サハリンの蝶
The Butterflies of Sakhalin in Nature
朝日純一・神田正五・川田光政・小原洋一北海道新聞社1999
トナカイ王
北方先住民族のサハリン史
(著)N・ヴィシネフスキー
(訳)小山内道子
成文社2006大きな力を持ち、「トナカイ王」と呼ばれた敷香在住のサハ人、ヴィノクーロフの生涯を追うものです。
歴史的な事件についてはロシア側の資料に依って書かれているため、日本人の読者には不可解に感じられる部分があるかもしれません。
後半は敷香町内にあったオタスの実態と、そこに住んでいたいわゆる少数民族の人々の姿を描いており、非常に興味深い内容となっています。
馬場・児玉コレクションにみる
北の民 アイヌの世界
2000展覧会の目録です。

樺太と日露外交史

北樺太石油コンセッション 1925-1944村上隆北海道大学図書刊行会2004
日露関係とサハリン島
幕末明治初年の領土問題
秋月俊幸筑摩書房1994
日露交渉史話
維新前後の日本とロシア
平岡雅英原書房1982
日露領土紛争の根元長瀬隆草思社2003
ポーツマス会議の人々
小さな町から見た講和会議
(著)ピーター・E・ランドル
(訳)倉俣・トーマス・旭、佐久間徹
原書房2002直接樺太を扱った文献ではありませんけれど、ポーツマス会議とその背景について、アメリカの視点から描いた本です。当時の写真など、興味深い図版が豊富に収録されています。
北方史の新視座
対外政策と文化
地方史研究協議会雄山閣1994

樺太と戦争

サハリンの韓国人はなぜ帰れなかったのか
帰還運動にかけたある夫婦の四十年
新井佐和子草思社1998長い間、樺太に残留した韓国系住民の帰国運動に携わっていた著者が、ある夫妻の生涯を軸に朝鮮系樺太人の歴史を描いたものです。地道な調査と経験に裏付けられた、独自の視点が興味深いです。
戦史叢書 北東方面陸軍作戦<2>
千島・樺太・北海道の防衛
防衛庁防衛研修所戦史室朝雲新聞社昭和46

戦後の「サハリン」

書名編・著発行元発行年解説
サハリン
鉄路1000キロを行く
徳田耕一日本交通公社出版事業局1995鉄道を中心とした観光ガイドブックです。残念ながら、日本統治時代については、ごくわずかにしか触れられていません。
サハリン大陸棚 石油・ガス開発と環境保全村上隆北海道大学図書刊行会2003サハリン・プロジェクトに代表される北樺太の海底油田開発について、さまざまに紹介、考察した本です。専門的な内容ですけれど、比較的読みやすいです。
サハリン発掘の旅
樺太・風土と文化的世界
日ソ極東・北海道博物館交流協会みやま書房1990サハリンでの遺跡調査の様子を通して、樺太考古学の一端と、ソ連解体直前のサハリンの姿をかいま見ることができる内容です。基本的にはタイトル通りの旅行記で、とくに考古学の知識がなくても気軽に読むことができます。逆に、考古学についての専門的知識を求めて読むと、期待はずれに終わるでしょう。
写真集サハリン
樺太は遠く
国書刊行会国書刊行会198380年代はじめ、ソ連占領下のサハリンの写真集です。日本統治時代の写真も何点か掲載されています。
ワールドガイド
サハリン
徳田耕一JTBパブリッシング2002観光ガイドブックです。鉄道について詳しく扱っており、日本統治時代の鉄道にも多くのページを割いています。鉄道がお好きな方なら、興味深く読むことができるのではないでしょうか。

小説

総員起シ吉村昭文春文庫1980小説です。終戦時の樺太を舞台にした「手首の記憶」「烏の浜」という作品が収録されています。
脱出吉村昭新潮文庫昭和63小説です。樺太から北海道へ引き揚げた少年を主人公とする、「脱出」という作品が収録されています。
ニコライ遭難吉村昭新潮文庫平成8小説です。明治時代に起こった日露両国の関係にかかわる大事件、ロシア皇太子暗殺未遂について描いています。
ポーツマスの旗
外相・小村寿太郎
吉村昭新潮文庫昭和58小説です。日露戦争とポーツマス会議について、作品中に詳しく描かれています。
間宮林蔵吉村昭講談社文庫1987小説です。樺太を探検し、間宮海峡を発見した人物の生涯を描いています。
流氷の海
ある軍司令官の決断
相良俊輔光人社昭和48伝記小説です。わずかですけれど、樺太防衛戦について触れられています。